魔法にかけられた

『バカばれちゃうから』

それは春風の悪戯-「少年たち」を8回観た雑感

前回のエントリで京本大我さんと掛け持ってたことを自白したんですが、ということはまぁ観てますよね、「少年たち」。

それも8回も。

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なんで8回も観たかと言うと仕事でイライラしたらすぐキメてたので…正規の上映で3回、追悼上映で5回かな?めちゃくちゃ観ましたとにかく。
でもネットでは「破綻してる」などと酷評のこの映画を8回も観に行った猛者がここにいるぐらいにはいい映画なんですよ

追悼上映も明日で終わりになるので、盛大かつ壮大にネタバレを含んでいますのでよろしくお願いします。

ところでネタバレを始める前にもう1つ言わせてください。私Snow Manも掛け持ってます。岩本照に金を払わせてくれ。


あらすじ

舞台は2012年の奈良少年刑務所
赤、青、黒、黄色、緑に房を分けられている受刑者たち。赤房と青房は対立しており、黒房はそれを楽しんで見ている。
傷害で赤房に収監されることになった粟田ジュン(京本大我)は、房同士の対立に巻き込まれながらも徐々に馴染んでいく。

そんなある日、奈良少年刑務所に赴任してきた処遇部長の中林(横山裕)は、受刑者に体罰と圧政を繰り広げる。中林の圧政で刑務所は本物の地獄と化して行った。

青房のタスク(深澤辰哉)を外で待つ妻の美咲(山下リオ)は子供を身篭っており、間もなく産まれるという。時を同じくして、赤房リーダーのジョー(ジェシー)の母の余命が幾許もないことが判明。
互いの利害が一致した両房に加え、中林の圧政に辟易していた受刑者達は『脱走計画』を企て、脱獄を試みるが-


正直言って内容はこれだけなんですよ。
でもキャラクターが抱えた問題が辛いし深いし理不尽でつらい。


各房のメンバーと犯した罪、背景

赤房

ジョー(ジェシー)

罪状:
恐喝利得罪
背景:
父がアメリカ人のハーフ。
幼少期に買い物から帰宅したところ、父が首を吊って自殺しているのを第1発見者として目撃。
日本に来て以降、母はあらゆる男の所を転々とする。男と会っている間、ジョーは1人マンションの前で延々と待たされるなど、彼にとっては母親の全てを憎む要素となってしまった。


粟田ジュン(京本大我)
※本作の主人公(多分)であり姫

罪状:
傷害
背景:
両親がわからない。母は幼い頃にジュンを施設に置いてそれっきり。ジュンは母の顔すら思い出せない。
友人の川島隼人(宮近海斗)と、隼人の料理を売りにした店を開業することを目標に、働いてお金を貯めては隼人に渡していた。
ところが隼人が別の男達に自分の渡していた金を横流しにしていた事が判明、男達に「施設上がりのクセに、金持ってきてくれるから付き合ってる、隼人は俺たちとつるむってよ」と言われ、激昂して男達を暴行し、逮捕、収監。


エガオ(髙地優吾)

罪状:
傷害(?)
背景:
高校生(?)の時、壮絶なイジメと恐喝に遭うも笑顔で乗り越えようと無理して笑っていた。
だが度重なる金の無心と暴力に耐えかね、主犯を金で呼び出した彼は主犯の手首を縄で縛り付け、満面の笑顔を浮かべながらバイクで引きずり回した。


ダイケン(松村北斗)

罪状:傷害(?)
背景:
彼は部活ではバレー部のエースアタッカー、成績優秀のエリートだった。
しかし祖母が認知症を発症し、介護にかかる金を稼ぐために両親は必死に働き家を留守に。家の事は頼れる長男に任せっきり。

そんなある日、いつものように弟を見送ったあと祖母のための朝ごはんを用意し、振り返るとそこにいたはずの祖母がいない。
徘徊し、遮断機の下りた踏切に入ろうとしていた祖母をすんでのところで止めて連れ帰るも、学校に大遅刻してしまう。

執拗に責める担任。遅刻してきて何だ、誰が座っていいと言った、お前だけじゃないか?みんな必死にやってるんだ、最近たるんでるんじゃないのか?お前のせいで…響くセミの鳴き声、左手にハサミの感触、血みどろの刃先。


ヒロト(森本慎太郎)

罪状:不明
背景:
彼は生まれた時から戸籍がない、無戸籍。
だから学校にも行けていないし、病気になっても病院にも行けない。外に出ても母親以外に知り合いはいない。
「世間知らずのヒロト」、レンタルビデオも借りたことがない、と言われているが、全て無戸籍が引き起こしている弊害。
刑務所内では小学6年生のテキストを使って勉強しており、ダイケンが面倒を見ている。


情報屋(田中樹)

罪状:不明
背景:不明
取材力がずば抜けて高く、刑務所内のありとあらゆる情報を知っているが謎が多すぎる。
クールなようで行き当たりばったり。

青房


コウタ(岩本照)

罪状:窃盗致傷
背景:
ネグレクト。母親も父親も構ってくれず、幼少期のある晩に両親が「あの時おろしていれば、産まなければ私の夢も叶っていたのに、産めって言ったのはあなたじゃない!」と喧嘩しているのを目撃。それから母に何かを求めるのを諦めてしまった。
以降家にもろくに帰らず不良連中とつるむ毎日だった。


タスク(深澤辰哉)

罪状:不明
背景:
妻の美咲とはバーで出会う。ナンパに絡まれたところナンパ師に酒をかけて凛と帰って行った美咲に惚れこみ、1年かけて落としたらしい。
もうすぐ美咲が子供を出産予定だが、出所は早くても再来年の春。


リョウ(渡辺翔太)
ホスト(阿部亮平)
シュンソク(宮舘涼太)
マル(佐久間大介)

罪状:不明
背景:不明
背景や罪状は全く描かれないが青房の仲間たち。作業中も体育中もお喋りする仲良し。


炭谷(西畑大吾)
黒房のリーダー。冷静沈着だがわりと仲間想い。

ケンタ(室龍太)
黒房。病弱。


これだけ分かれば話がわかる。


主なストーリー展開

ジュンと隼人

ジュンは隼人が自分を裏切るはずがない、という希望やら隼人を取られたという悔しさやら、隼人に「施設上がりのくせに、金持ってくるからつるんでる」と思われた悲しさといい…から男達をボコボコにして収監される。
めちゃくちゃ細っこくてめちゃくちゃ姫なのに5~6人を1人でボッコボコにしてる謎はさておき、この男達は詐欺師なんですよね。

隼人はジュンに謝るために面会に来るのだけれど、ジュンは面会を拒否。後に手紙で隼人も詐欺師に騙されていたこと、自分がボコボコにした相手が詐欺師グループだったことを知って後悔する訳です。
隼人は手紙を出して「もう会いにも来ない、でも最後に謝らせて欲しい」と書いたことから恐らく誤解がとけてももう二度と2人は会えずに終わってしまった。つらい。


ジョーとジュン

さて詐欺師集団を1人でボッコボコにして収監されてきたまつ毛激長&歌うますぎ&肌白すぎプリンセスのジュンは赤房リーダーのジョーとエガオ(バイクで人を引きずり回したけど面倒みが良くて優しい)と同じ房に。

しかしプリンセスすぎるが故に、早々から青房からめちゃくちゃ目をつけられる。
コウタに絡まれた所をジョーに助けられるが、止めに入った看守と中林はジョーがマウントを取っていた所に来た為にジョーが悪いと勘違いしてバッキバキに警棒で体罰!(ホントに2012年だよな?)

「今日は悪かった。もう俺に構わなくていいから」
と謝るジュンに、
「そんな事言うなよ、仲間だろ?」
と返すジョー。
以来、中林の嫌がらせにも耐えて2人の友情は強固になっていった。

そんなある日、ジョーが恨んでいた母親が余命幾ばくもない末期のガンであることが判明。
「恨んでたのにガンだって聞いたらあいつのことばっかり考えちまう。俺がこんな所にいるばっかりに、一緒にいてやれねぇ」
と、ガックリと項垂れるジョーを見たジュンは脱走計画を考えつく。
「何日間か分からないけど、最後に一緒に生活出来たらジョーにとってもお母さんにとってもいいはずだ」と。
この言葉が母親の顔すら思い出せず施設で育ったジュンから出るのがつらい。
結果、ジョーは逃走中に仲間を先に遣ったばっかりに中林に捕まってしまう。

出産を控えた妻に会いたい青房のタスクを逃がす為、高い塀に登って囮になろうとするジュン。
降りてこい、と説得する看守、タスクを逃がしたいジュン、そして反対側から登ってきた看守のライト…目が眩んだジュンはそのまま落下…


ジュンにとっては初めての「仲間」だった。
このストーリーでは、刑務所なのにそこで形成されるグループではじめて「友情」「仲間」を知るメンバーが多すぎる。というか、ほぼ全員。

塀から落ちていくジュンが見た走馬灯は、赤房のメンバー達と自分との思い出だった。

落下したジュンは対立していて初めはジュンに目をつけ、絡んでいた青房リーダーのコウタの腕の中で、赤青両房のメンバーに囲まれ名前を呼ばれながら、笑顔を浮かべて命を閉じてしまう。
しかし仲間を脱獄させるために先に遣ったばっかりに捕まったジョーだけが、絡まれた時も真っ先に守ったジョーだけが、ジュンが1番逃がしたかったジョーだけが、最後の最後でジュンに触れることさえ出来なかった。つらい。


ジョーとコウタ

青房リーダーのコウタが執拗にジョーに喧嘩を売るのには理由があった。

ネグレクトな上に孤立していた中学時代のコウタ。そんなコウタにたった一人だけ一緒にいてくれた友人、それがクロ(中村嶺亜)だった。

クロはジョーの不良グループに所属していたが、ジョーはどこか優しいクロは自分のグループにいて悪さをすべきではないと考え、クロをグループから去らせた。
しかしそれで居場所を失ってしまったクロは本物の「組」に近寄ってしまう。
そこで組の連中にいいように使われた挙句、クロは殺されて死んでしまった。

逆恨みなことは分かっていつつ、クロをグループから外したジョーのことを恨まずにはいられなかったのだ。

大喧嘩からの懲罰房で本音を語り合った2人はわだかまりが解け、のちにコウタはタスクが産まれてくる子供に会えるように、脱走計画の仲間に入れて欲しいとジョーに頭を下げる。
ネグレクトが根底にあるコウタがタスクを想う気持ちが優しくて悲しい。


謎と私の私見

揺れるブランコ

ジョーが出所する2014年、ふと見ると生前のジュンがよく遊んでいたブランコがゆらゆらとゆれていた。まるで、ジュンがいるかのように。
→これ私は「ジュンが見ている」というダイレクトな描写だと思っています。

最後に流れる少年隊の「we'll be together 」の歌詞を引用します。

いくつかの場面がありました
また君に逢うためのさよならをします

別れたまま風の便りのまま
遠く離れた時を過ごしてゆきます

流れる季節にからかわれながら
やがて来る明日を夢見ます

We'll be together 肩をたたかれ
振り向いてもそこに落ち葉が舞うだけ
We'll be together 遠くでドアを開けてみてもそれは
春風のいたずら

季節は巡り巡って君とまた出逢うでしょう
別れたその時より素晴らしい場面
僕のこの目の前にやってきます
いつかきっと

We'll be together 別れた時より
素晴らしい場面を作り出すために
we'll be together さよなら言います
やがて来る明日を楽しみにしてます

これはエンドロールで流れるんです。
エンドロールで、私服のみんなに迎えられて、私服のジュンが笑顔で刑務所に帰ってきます。
そしてみんなで楽しくダンスをするわけです。
単なるカーテンコールって分かってるけど、それが『別れた時より素晴らしい場面』なのかな、ジュンと赤青のみんなはちゃんともう一度出会って幸せになったのかな、って思ってボロボロ泣いてしまう。ちなみに8回とも泣いた

中林は死んだのか?

ジュンの日記を見た中林がベンチで倒れ込んでしまう。死んだのか?

これわたし的には正直どっちでもいいんだけど、死んだら死んだで後味悪いから生きてて欲しいかな。
だって中林は完全な悪者じゃないんですよ。過去に受刑者に暴行を振るわれたことでPTSDを発症してるだけだし、なんだかんだ出所のジョーに優しい言葉をかけてるんだよな。
それにまだ中林には学生らしきお子さんもいるし、「産まれてくる子供に親の都合は関係ねぇ、でなきゃ俺たちみたいになっちまうぞ」っていうコウタの言葉を借りるならここで死んだら子供が可愛そうだよ。


最後にどうでもいい雑メモ

・奈良少年刑務所が出来たのは1908年
・ジュン収監する車のナンバーは大阪800 し 34-64
・ジュンたちの房は1-28
・ブランコは23房の窓の外にある
・情報屋に取材されてた看守の趣味は山登り
・中林が入ってきたのは14時5分
・図書室に最新型テレビとクソ古いラジカセ
・粟田ジュン 第2実習傷害で2年半
・コウタの房は1-16
・クロの形見のヨーヨーはクリアボディに黄緑の糸
・コウタのネグレクト母は保険屋
・決行は1番くらい新月の晩、2日後の20日=2012年で新月20日は2012/6/20のみ



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